Background
愛犬との旅行では、宿泊施設を探すより先に「どこへ行くか」が決まります。目的地の候補があり、その地域で愛犬と過ごせる場所を探し、その延長線上ではじめて宿が検討される。施設名で検索される段階まで待っていては、意思決定の大半はすでに終わっています。
クライアントは全国にペット同伴施設を展開していましたが、顧客接点は施設ブランドを軸としたものが中心でした。より上流の「この地域に愛犬と行けるのか」という段階で接点を持ち、そこから自社施設へとつなぐ導線が必要でした。
本プロジェクトでは、施設の宣伝媒体ではなく、愛犬同伴旅行そのものの検討を支える情報基盤として、オウンドメディアを新規に立ち上げました。
01. サイトデザイン・情報設計
「愛犬と、どこへ行けるか」を起点とした情報構造を設計しました。
地域から探す、施設から探すという複数の入口を用意し、旅の検討フェーズに応じて自然に情報をたどれる導線を構築。閲覧の大半がモバイルであることを踏まえ、移動中・計画中のいずれの状況でも読みやすい設計を前提としました。
02. 検索意図を起点としたコンテンツ設計
施設名や自社ブランドではなく、「地域 × 犬連れ」という検索意図を軸にコンテンツを設計しました。
愛犬家が実際に検索している言葉を出発点に、どの地域の、どの検討段階に、どのような情報が不足しているのかを整理。旅行そのものに関する情報だけでなく、同伴にあたって必要となる手続きや事前準備といった周辺の不安にも対応範囲を広げ、検討の入口を複線化しました。
03. 記事コンテンツの継続制作・改善
設計に基づき、記事コンテンツを継続的に制作・改善しました。
一度の公開で終わらせず、検索パフォーマンスを定点で確認しながら、拾えていない検索意図の補完と既存記事の改善を継続。単発の施策ではなく、対応できる領域を積み上げていく運用としました。
04. 施設への送客導線設計
地域情報から施設情報への回遊を前提に、導線を設計しました。
「その地域に愛犬と行きたい」という関心を、「その地域のこの施設に泊まる」という具体的な検討へと接続。メディアが集めた需要が、施設の予約検討につながる構造を組み込みました。
Impact
平均掲載順位は、公開時とほぼ同じ水準にあります。にもかかわらず、自然検索経由の流入は2026年1月比で約13倍に拡大しました。
この2つが同時に起きている事実が、成果の性質を示しています。少数のキーワードで順位を上げて流入を集めたのであれば、平均順位は上がるはずです。順位が変わらないまま流入だけが伸びたということは、上位に表示できるクエリの数そのものが増えた。つまり点ではなく面で検索接点を獲得したことを意味します。
施設ブランドを起点とした従来の接点に対し、「どこへ行くか」を検討している段階の愛犬家と出会う経路が、面として新たに立ち上がっています。